後発白内障は心配しなくても大丈夫
後発白内障は比較的よく起こる白内障手術の合併症です。後嚢の混濁が進んで、光が網膜に届きにくくなって、白内障と同じようにかすんだりぼやけたりする症状がでます。
しかし視力に影響を及ばさない程度であれば経過を診るにとどめ、治療が必要になるのは全体の1~2%でしかありません。
なぜ、後嚢が白濁するのでしょうか?
白内障手術では眼内レンズを保持するために後嚢(水晶体が入っている袋の後ろ部分)を残したままにしておきますが、この細胞がどんどん増えるために濁りがでます。
とくに若いと新陳代謝が活発なせいで後発白内障になりやすいといえます。
発症時期と発症率
早い人で術後1か月くらいから発症し、数か月から術後1~2年がピークで、術後数年くらいまであります。
発生率は、術後1年で10%、3年で20%、5年で30%ほどです。
発症しやすいのは?
高齢者より比較的若い人に発症しやすく、ぶどう膜炎、網膜色素変性症、アトピー、強度近視などがある人に多いようです。
後発白内障の治療
レーザーで濁った水晶体嚢に孔を開け、光を通してやります。時間にして数分程度と短時間で済みます。痛みもありません。一度治療すれば再発しません。手術や入院の必要はなく、外来でできる治療です。
治療は点眼麻酔後、特殊なコンタクトレンズをつけてからレーザー照射します。治療で眼内レンズが落下したりずれたりもしません。
眼内レンズの両端がループ状になっていて水晶体嚢にしっかりとくっついているためです。
ただレーザーで水晶体嚢を焼くので、嚢の破片が眼内に飛び散って飛蚊症が出ることはありますが、これも徐々に改善します。
治療の合併症
虹彩炎・眼圧上昇の合併症リスクがないわけではありません。そのため特に眼圧上昇を防止するために、術前後の点眼薬や術後のステロイド薬点眼をします。
また白内障手術後、早期に後発白内障になったかたには、まれに黄斑浮腫や網膜剥離といった早期の治療を要する合併症が起こることがあります。
早期発見のためにも術後の眼底検査は大切です。