白内障とは?
白内障は眼の中にある水晶体が加齢などの影響により白く濁り、モノがボンヤリとかすんで見える病気です。痛みや充血はないのですが、症状が進めば視力が低下し、眼鏡でも矯正できません。
早ければ40代から発症し、年齢が上がるほど発症率が高くなります。加齢以外でも先天的なものや外傷、ステロイド、放射線、緑内障、網膜剥離、糖尿病が原因で発症することがあります。
また発展途上国では放置されることが多く、失明原因の第一位になっていますが、国内での失明率は3%程度と低いです。
年代別発症率は次の通りです。
- 50代・・・約40~50%
- 60代・・・約65~80%
- 70代・・・約85~95%
- 80代・・・ほとんど
白内障を治すには、水晶体の代わりに眼内レンズを挿入する手術を行います。年間100万件以上も行われているポピュラーなもので、町の眼医者さんでも広く行われています。症状が酷くなければ薬を使って進行を抑えたりします。
ルテインと白内障の関係
白内障の有名な対策はルテインを摂るですが、
ルテインが白内障の防止に効果があるかどうかは分かっていません。
現段階では注目されているに過ぎない栄養素ということになるでしょう。
実際にもその検証が進められている最中です。
でも、そんなの待ってられないですよね。
早め、早めに手を打ちたい方はここから手に入ります。
白内障の種類は?
白内障は大きく先天性白内障と後天性白内障とに分かれます。先天性白内障は生まれつき水晶体が濁っているタイプで、遺伝や妊娠中の母体の風疹が原因です。
後天性白内障は、原因によっていくつかの種類に分けられます。
- 老人性白内障
- 併発性白内障
- アトピー性白内障
- 糖尿病性白内障
- 薬物性白内障
- 外傷性白内障
- その他
加齢による眼の酸化が原因の白内障で、全体のおよそ9割を占めています。近年はスマホなどによる目の使い過ぎのため若年層(30~40代)でも発症しています。
他の目の病気から併発する白内障で、ぶどう膜炎・網膜剥離・緑内障などで発症しやすいです。ぶどう膜炎とは、虹彩、毛様体、網膜の外側にある脈絡膜を合わせたぶどう膜に炎症が生じる疾患で、水晶体を障害し、白内障を招くことがあります。
また網膜剥離や緑内障などで眼内手術を受けると白内障を招きやすくなります。高度近視で水晶体に栄養が行きわたらずに発症することもあるようです。
近年増加しているアトピー性皮膚炎による白内障です。かゆみに耐え切れず、眼を強くこすったりするために起こるといわれています。若年層でも発症し、急激な視力低下や網膜剥離を起こすこともあります。
通常の白内障より10倍も進行が速いうえに、網膜症を発症する可能性もあります。最終的には失明に至るため注意が必要です。
薬の副作用で白内障になることがあります。代表例がステロイドです。長期間にわたり使い続けると水晶体に影響を及ぼすことがあります。すぐには症状が表れず、視力が低下してはじめて気づくようです。
また緑内障治療点眼薬のピロカルビンや、抗ヒスタミン剤のクロルプルマジンなどでも発症することがあります。
ケガや異物が入るなど外部からの刺激が原因で発症する白内障です。若年層に多く発症し、徐々に視力が低下していくので後々から気付くことが多いです。
レントゲン白内障、放射線白内障
エックス線や放射線の照射を受けて半年~2年経過して発症することがあります。
紫外線の過多による発症
紫外線を多く浴びると発症しやすいようです。また電磁波や超音波、栄養障害によって起こることもあります。
内科疾患による発症
低カルシウム症、甲状腺機能低下症、ガラクトース血症などの内科疾患によっても白内障になることがあります。
白内障の症状は?
白内障になると水晶体が濁って、眼の中に入ってくる光量が落ちます。また、光が乱反射するため周囲に霧がかかったようにかすんで見えたり、やたらとまぶしく感じたりします。
ただ夜間でないと症状が出にくいため、なかなか自覚できません。眼鏡を作り変えたのに、見えにくく、初めて白内障だと分る場合もあります。
ふだんから片目で周囲を見回すなど早期発見に努めることが大切です。
白内障の種類ごとの症状
白内障は水晶体の濁り方によって次のように分類され、各々に特徴的な症状があります。
- 皮質白内障
- 核白内障
- 後嚢下白内障
水晶体の外側から中心部に向かって濁りがじわじわと進行していくタイプです。老人性の白内障に多く、夜間に瞳孔が開いて、かすんだりぼやけたりといった症状がでるため、初めは気付きにくいです。
夜、眼鏡をかけたままで片目ずつ月を見てみましょう。ぼやけていれば皮質白内障が疑われます。
そのほかにも、太陽を背にした人の顔が見えなかったり、夜に強い光を見た時に視界がかすんだり、暗いところでモノが二重に見えたりといった症状がでます。
水晶体の核の部分が硬くなるタイプ。アトピー性白内障や併発性白内障に多く、初期のうちから明るいところでモノが二重に見えるなど見えにくさを感じます。
屈折率が変化して近視状態となるため一時的に老眼が治ったように感じられたり、黄色っぽくくすんだように見えるのが特徴です。
早めに手術をしないと取り除くのが難しいうえに合併症のキケンも高まります。
水晶体の後ろ(後嚢)から濁りが生じ、初期のうちからにごりやぼやけ、視力低下やまぶしさといった症状が出ます。
加齢はもとより喫煙、糖尿病も原因です。アトピー性白内障でも起こります。進行が急激なので注意が必要です。
白内障と診断するための検査は?
白内障と診断するための検査には、主に視力検査と細隙灯顕微鏡検査(さいげきとうけんびきょうけんさ)の二つがあります。
- 視力検査
- 細隙灯顕微鏡検査
裸眼での視力のほかに、眼鏡やコンタクトをつけた状態での視力も測ります。
白内障は水晶体が濁るため、矯正しても視力が上がりません。特に核白内障(水晶体の真ん中から濁っていく白内障)では急激に視力が低下し、頻繁に度数を上げることがあります。
細隙灯顕微鏡検査(さいげきとうけんびきょうけんさ)では水晶体の濁りの様子や程度、硬さなどを診ます。細いプレートに顎をのせ、暗室で行う検査です。細いスリット状の光を眼に当て、対面から医師が眼の中を顕微鏡で拡大して観察します。
ただ、濁りが進行していると、眼底が見えないので、網膜電図検査(ERG)や超音波エコーを使うことがあります。最近では網膜の断層まで詳しくわかる光干渉断層計(OCT)で調べる病院も出てきました。
なお検査後しばらくの間は、まぶしく感じられるので車の運転はできません。
白内障を予防して、進行を抑えよう
白内障で水晶体が濁るのは、酸化ストレスが原因です。いったん濁ってしまうと元には戻りません。しかし、次の3つを行うことで予防したり、進行を遅らせたりできます。
- 紫外線を防ぐ
- 抗酸化作用のある食品
- 禁煙、睡眠時間の確保
- 糖尿病にならない
- 点眼薬を使う
紫外線を防ぐには、昼間は帽子がよいでしょう。また朝や夕方は、光線が正面から目に入ってくるのでサングラスがよいでしょう。陽ざしの強いところはつば広の帽子とサングラスの2つで防ぎましょう。
抗酸化作用のある濃い色の野菜などを積極的に摂りましょう。
禁煙はもちろん、睡眠時間をきちんと確保することで規則正しい生活を送りましょう。
糖尿病になると、白内障の進行が早まるので注意が必要です。また網膜のなかで新生血管が伸びてくれば、レーザー治療も行わなければなりません。
白内障の症状が日常生活に差し障りがなければ、点眼薬で手術を回避したり、遅らせたりすることができます。ただし、認可されている点眼薬は処方薬のみなので、海外からの輸入品には注意しましょう。
白内障の点眼薬の種類
薬品名 |
効能 |
商品名(白内障点眼薬名) |
---|---|---|
ピレノキシン |
水晶体の濁りの元となる物質の作用を妨げる |
・カタリン ・カリーユニ |
グルタチオン |
抗酸化作用で白内障を予防する |
・タチオン |
※国内で認可されていないCAN-C、クララスティルといった海外の薬を個人輸入することもできますがすべて自己責任です。
白内障の手術は?
白内障の手術は、濁った水晶体に代えて、人工の眼内レンズを挿入する手術です。眼に入いってくる光の通りをよくする手術で、局所麻酔(点眼麻酔)で行うため、痛みもありません。
町の眼科医でも広く行われており、手術時間も10~15分程度と短く、日帰り手術も普及しています。それでも白内障の手術は顕微鏡を使った繊細な作業で、医師の経験や腕に左右されます。
白内障の術前検査
手術の前に他の病気や服用している薬、既往歴など全身の状態を調べます。それとともに血液検査や心電図などともに眼圧検査も行います。
なかでも大切なのが角膜内皮細胞検査(かくまくないひさいぼうけんさ)です。
角膜内皮細胞検査は、手術によって減少する角膜の内側を覆っている角膜内皮細胞がどの程度あるかを調べる検査です。(極端に数が少ないと視力が出ない恐れがあります。)
これにクリアしたら、手術で挿入する眼内レンズの度数を決めます。眼軸長検査で眼の大きさを測り、その人の生活に合った必要な視力が出る度数にします。
眼内レンズには乱視用のものや、近視と遠視方に対応したものもあります。多焦点眼内レンズと呼ばれ、老眼対策にもなりよりナチュラルな視界が得られます。ただ保険診療の適用外となるため少し高額になります。
白内障の眼内レンズのライフスタイルに合わせた正しい選び方
白内障の手術方法
白内障の手術は超音波乳化吸引術という手法が一般的です。眼のなかの水晶体が入っている袋(水晶体嚢)の前面を2~3ミリ程度くり抜きます(前嚢切開)。
そこから特殊な機械を入れて、超音波で水晶体の濁りを粉砕しながら吸い取ります。代わりに人工のレンズを挿入します。水晶体の核が硬すぎて、粉砕しきれない場合には、水晶体嚢外摘出術といって丸ごと取り除くこともあります。
また強い近視や遠視があると眼球の長さの測定に誤差が出ることがあります。その場合には術後1週間以内に再手術を行います。
術後はグッと良く見えるようになりますが、やはり眼鏡は必要です。
手術中のラプチャー
手術中に水晶体嚢が破れてしまうことをラプチャーといいます。破れた部分から硝子体(ゼリー状)が眼の中へ流れ込んできます。それを取り除くことを医学用語で「A-vit」といいます。しっかりA-vitしておけば問題は起こりません。
手術の流れについて
当日は指定された時間(手術開始1時間半~2時間前)に付き添いの人とともに来院します。
- 手術前の準備
- 手術前
- 手術(10~15分程度)
1、散瞳薬(瞳孔を開く薬)の点眼
1、血圧測定など当日の体調チェック
1、着替えて、手術室に入室
1、点眼による局所麻酔
1、洗浄
1、開眼器で瞼を開いた状態に固定
1、黒目と白目の間に3㎜ほどの切開創を作成
1、水晶体前嚢を円形にくりぬく
1、超音波で水晶体を砕きつつ吸引
1、残した水晶体後嚢に人工レンズを挿入
≪注意≫
*医師から「右の方を見てください」「光の方を見てください」など指示があったら、頭を動かさずに眼だけ動かして見ます。
*心電図や血圧のモニターが取り付けられてますが、自分でも異常を感じたら直ぐに声に出してください。
*要望があれば遠慮せず口に出してかまいません。例えば、
・「部屋が寒い」(医師に合わせて室温は低めの設定。毛布を掛けてくれます)
・「体勢をちょっとずらしたい」(仰向けになっています)
・「コワい・・・」(ナースが手を握ってくれます)
手術後
1、体調が回復するまで安静
術後の合併症について
術後によくみられる症状や合併症は次のようなものです。
- 後発白内障
- 嚢胞様黄斑浮腫
- 眼内レンズの偏位・脱臼
- 飛蚊症
- 眼内炎
- 角膜浮腫、虹彩炎、眼圧上昇
水晶体がおさまっている袋(水晶体嚢)の後ろ側(後嚢)が白く濁る合併症です。術後1~2年で多く発症しますが、レーザーで取り除けば完治します。(外来で短時間のうちに終えられます。)
網膜の黄斑部がむくむ合併症です。術後2週間から1か月くらいで起こります。黄斑は最も視力が出るため、ここが障害されると視力が低下します。
医師の指示を守らなかったり(点眼薬をさす・飲酒を控える)、プロスタグランジン関連薬の副作用や糖尿病網膜症、網膜血管の閉塞が原因のこともあり、きちんと治療しないと治らないことがあります。
眼内レンズがずれたり、脱臼したりして所定の位置から外れてしまう合併症です。水晶体嚢がもともと弱いと、レンズをしっかり固定できないために起こります。急に視力が低下することがあれば、レンズの位置を直したり、眼内に縫い付けたりする再手術が必要です。
視界に小さな浮遊物が映る症状です。もともと飛蚊症があると手術で視界が良くなった結果、見えてしまうことがあります。
細菌による感染症ですが、2000~4000人に1人と非常にまれです。術後の傷が治る間に起こりますが、近年は手術の技術や抗菌薬の進歩のためまず心配ありません。
ただ放置すると、失明のキケンもあるため、術後1週間以内に強い痛みや充血、急激な視力低下がある場合は速やかに受診することが大切です。
術後早期にが起こることがありますが、軽ければ1週間ほどで改善します。
術後の経過と注意点
術後の経過と見え方
手術の翌日には十分な視力が得られますが、まぶしく感じられることもあります。しかしこれは青色光がよく入るようになったためです。
また、眼がゴロゴロしたり、涙が出たりすることがありますが、どちらも術後、数日から1~2週間のうちに治まってきます。
さらに術後1か月が経過すれば旅行やスポーツも大丈夫です。手術で合わなくなった眼鏡の度数も合わせられます。
ただコンタクトレンズの使用はとても面倒です。単焦点レンズの場合、近くに焦点を合わせると、遠くがぼやけてしまうからです。(逆もまたそうです)
その点、眼鏡であればかけ外しができるので簡単に焦点を合わせられます。ただ、コンタクトレンズも遠近両用にすれば、この点を少しは改善できます。
術後に気をつけること
術後1週間はばい菌が入りやすく、細心の注意が必要です。必ず医師の指示を守るようにしてください。合併症の有無をチェックするうえで定期検診も欠かさないようにしましょう。
注意事項は次のとおりです。
- 術後の点眼を怠らない
- 目を絶対に押さえない
- 目に絶対に水が入らないようにする
- 1週間は禁酒、禁煙です
- 激しい運動は控える
- 保護メガネをかける
- 食事は普通に、テレビや読書はかまいませんが疲れない程度にとどめましょう。
術後の点眼(1ヶ月~3ヶ月間)は感染防止のためにも大切です。自己判断で勝手にやめないようにしましょう。緑内障の目薬を使われている方はそちらも継続できます。(ドクターの指示に従ってください)
点眼のやり方
容器の先端がどこにも触れないように点眼しましょう。下まぶたを軽く引っ張ってポケットを作ってあげます。また、目薬が2本以上の場合は1本目を点眼したら5分以上の間隔をあけましょう。
お化粧、特にアイメイクは術後1か月は禁止です。ただ髭剃りは電気カミソリならOKです。
洗顔や洗髪も1週間は控えてください。かたく絞ったタオルで拭いたり、顔に水がかからないようシャワーを浴びるのなら構いません。
お酒は炎症を進行させることがあるため術後1週間は飲んではいけません。また、タバコも煙が刺激となります。
肉体労働なら最低1週間は控えてください。汗をかくものは目に入るキケンがあるためNGです。、運動は散歩程度ならOKですが、仕事・運動に関しては、いつから再開するかを必ず主治医と相談してからはじめてください。
保護メガネは柔らかいゴーグル状で、紫外線カットの役割もあります。術後2日間は夜寝るときもかけたままでいましょう。