2002年(平成14年)、科学的根拠(エビデンス)に基づく白内障診療ガイドラインが策定され、白内障の危険因子、診断、治療方針等に対する標準的な指針が示されました。
白内障になりやすい人の性別と年齢
白内障ガイドラインの策定に向けた研究によると、白内障は男性より女性に多く、鹿児島県の奄美地方と石川県とでは奄美の方に多いと報告されています。しかしその理由はよくわかっていません。
地域や性別に関係なく、発症率が高いのが高齢者です。50代から年齢とともに患者が増え、80代以上ではほぼ100%に達しています。
年齢が高いほど症状も重く、一般的な皮質の白内障に加え、核も混濁する混合型も多く見受けられます。
白内障の危険因子と予防について
今回のガイドラインでは下記のようないくつかの危険因子が発表されています。白内障の進行を抑えるという意味では、試してみる価値はあるといえます。
- 喫煙
- 紫外線
- 酸化作用
- 薬
- アルコール
- 肥満
- 遺伝
喫煙は水晶体に悪影響を及ぼしますが、10年以上の禁煙で白内障のリスクが低下するそうです。
ふだんから帽子をかぶるなどして、紫外線を防いでいるかたは白内障になりにくいそうです。ただどのくらいの紫外線量で悪影響が出るのかは分っていません。
もともと白内障患者にはビタミンCやEの摂取が少ないそうです。そこでビタミンC、E、βカロチンを7年間大量に摂る実験をしたところ、白内障を抑える効果は特になかったという報告もあります。
それでも抗酸化食品である野菜やカルシウム、葉酸、ビタミンEは間接的な白内障の抑制につながると考えられます。一方、脂肪や塩分の摂りすぎは白内障のリスクを高めるようです。
ステロイド薬と向精神薬は白内障リスクを高める可能性があります。
1、ステロイド薬ではヒドロコルチゾンが69歳以上でリスクが高まります。
2、プレドニゾロンは小児でも30%に後嚢の混濁が見られました。
3、向精神薬は1年以上使用するとリスクが上がります。
4、痛風で使われるアロプリノールは白内障を進行させます。
こうした薬剤は禁忌というわけではありませんが、使用量や使用期間、50歳以上の年齢、糖尿病の合併症などと関連してリスクが高まるようです。
アルコールは男性にのみ影響します。飲酒が月に1回未満の男性に比べ、毎日飲む男性はリスクが1.3倍です。大量飲酒はより重い核白内障につながります。女性にはアルコールは影響しないようです。
BMIが大きいと白内障に影響します。生活習慣による肥満は白内障にも影響します。
白内障は大いに遺伝するといえます。白内障患者の兄弟姉妹はリスクが3倍以上です。
白内障の手術について
手術時期を決めるには、今現在、どういう見え方なのかを正確に把握することが必要です。
視力の低下だけではなく、コントラストの感度、グレアハロー(暗いところで光がまぶしく見える、にじむ)の程度、視野の状態なども大切です。
ガイドラインではこれらの事項について、医師が正しく把握するよう説いていますが、患者さん側からも理解してもらおうとすることも大切です。
ポイントは、術後どういった生活がしたいのか、そのためにはどの程度の視機能が必要なのかですが、これは一人一人異なるからです。
術前のアンケートには、できるだけ率直に、詳しくこたえましょう。
白内障手術の現状
ガイドラインでは白内障手術における麻酔、術式、合併症について述べてます。
- 麻酔方法は症状や医師により異なる
- 術式は超音波乳化吸引術が主流
- 合併症は眼内炎に注意
- 後発白内障
1、通常局所麻酔ですが、極度に怖がっていたり、術中動いてしまう患者さんだと全身麻酔になることもあります。
2、麻酔方法は点眼か注射です。点眼は患者さんにストレスがかからない分、麻酔効果がいくらか弱く、手術難易度が高いです。
また注射の場合は麻酔効果が高い分、眼圧上昇や出血などのリスクがあります。麻酔方法は治療の程度や医師の技量によって選ばれるようです。
切開創の小さい超音波乳化吸引術が、術後の乱視が防げるうえ炎症の度合いも少ないことから圧倒的に採用されています。
挿入する眼内レンズは、多焦点レンズが人気を集めていますが、グレアハローが起きやすいのがデメリットです。
遠くも近くも見えるため術後あまり眼鏡を必要としないレンズですが、自分の望む生活と合致するかどうか、よく検討することが必要です。
術中さまざまな合併症が起こることがあります。中でも眼内炎は視力に深刻なダメージをもたらすことがあります。
しかし現在では抗菌剤や消炎剤が使用されているため、その発生率は0.13%と低く抑えられています。
術後に起こりやすい合併症が後発白内障です。再び白内障症状を呈するもので、発生率は術後1年で11.8%、術後3年で20.7%、術後5年で28.4%と手術から年数が経つほど高くなります。
眼内レンズの中でも、アクリルレンズが発症しにくいようですが、予防法はまだありません。ただその治療自体は難しいものではなく、レーザーによって簡単に外来で出来ます。
薬物療法について
白内障の治療薬については明らかな科学的根拠がないとされています。しかしこれは「薬は効果がない」ということではありません。科学的データに基づく客観的な判断基準がなかったためです。薬物については今後の研究が待たれるところです。
ルテインと白内障の関係
白内障の有名な対策はルテインを摂るですが、
ルテインが白内障の防止に効果があるかどうかは分かっていません。
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